新型コロナワクチン接種のための実技研修報告

令和 3 年 7 月 25 日(日)に新型コロナワクチン接種のための実技研修会が広島市民病院 10 階講堂にて開講されました。この研修は広島県からの委託事業で座学研修を修了し実技研修を希望する者を対象に行われました。

森田会長より開会の挨拶後、広島大学大学院医系科学研究科 救急集中治療医学 客員教授 貞森拓磨先生より、ワクチン接種の全体の流れ、ワクチン接種における安全配慮、筋肉注射の実際について講義していただきました。注射の穿刺部位は従来、肩峰から 2~3 横指下とされていましたが、現在は前腋窩線の頂点と後腋窩線の頂点を結ぶ線に肩峰から下ろした垂線が交わるところを推奨していることが分かりました。

また、穿刺部位が肩に近すぎると肩関節周囲炎、三角筋後部・裏面になると腋窩神経障害、三角筋より下方背面側になると橈骨神経障害を起こす可能性があるので、解剖を正しく理解することで合併症のリスクを減らすことができると説明されました。接種会場で発生したインシデントとして「使用済みの針を別の対象者に穿刺してしまった」「薬剤の充填されていない、もしくは空気のみが入ったものを非接種者に穿刺し、空気を投与してしまった」という事例が挙げられました。

インシデントを防ぐために、「使用済みの針はリキャップせずに速やかに廃棄する」「接種前に、適正量の薬液が充填されていることを確認する」ことが大切であると学びました。さらに、針刺し事故を防止するために接種の前に注射器、酒精綿、絆創膏、ゴミ箱を視界の範囲にセットすることがポイントであると説明されました。

講義の後、広島県看護協会の方々の指導のもと、実技の実習を行いました。5 人グループに分かれて筋肉注射シミュレーターを用い、左右の腕に 2 回ずつ計 4 回練習をしました。

被接種者への声かけや、アルコール使用禁忌の有無確認、体格の確認、接種部位の確認、シリンジの持ち方、針を刺す角度など一連の流れを確認しました。スムーズに接種できるように注射器のキャップを緩めておくことが大事だと感じました。シミュレーターを用いた練習の後、受講生同士で生理食塩水を注射しました。シミュレーターで確認したとおりにスムーズに接種をすることができ、「上手だね。痛くなかったよ。」と言ってもらえたので嬉しかったです。

しかし、穿刺部位は被接種者の体格によって人それぞれ異なるので少し難しく感じました。今後、実際にワクチン接種者として活動する機会に備えて、今日の講習を思い出し、流れをイメージトレーニングしておきたいと思いました。

最後に、貞森拓磨先生、看護協会の皆様、お忙しい中ご指導頂きありがとうございました。深く感謝申し上げます。

(広報部 本田秋奈)