広報部 貞末智美
第51回中四国支部医学検査学会が平成30年11月24日(土)~25日(日)の2日間にわたりサンポート高松・かがわ国際会議場にて開催されました。メインテーマは「未来設計 ~Turning Point 今すべきこと~」 特別講演2題をはじめ、文化講演、教育講演2題、日臨技企画3題、特別企画(RCPC、企画Ⅰ-Ⅲ)、シンポジウムⅠ-Ⅳ、中高生のための職業紹介があり、一般演題は187題でした。
日臨技企画Ⅰ-Ⅲは「医療法等の一部改正における日臨技対応について」でした。 一般演題は生理と微生物の演題を聴講しました。各病院の感染対策や業務改善の取り組み、貴重な症例報告などがあり、とても勉強になりました。生理ではCPAP遠隔モニタリング関連の発表が2題あり、当院においてもSDカードやUSBなどの媒体を使用せずにCPAPデータのやり取りを行っていますが、技師側から積極的に患者さんへ装着率や使用感などのお話をうかがうことがないため、今後当院でも取り組んでいければと思いました。
25日(日)は 生理が2会場に分かれていたため、皆さん聞きたい演題の時間を確認しながら、会場を移動されていました。微生物ではグラム染色の一致率向上の取り組みや症例報告、血液培養に関する検討などの発表がありました。血液培養に関しては汚染菌やセット率の低下など、昨今悩んでいた問題に対して、血液培養採取時のマニュアルの変更(採取時の消毒など)を行い、看護師さんを対象とした研修会を行ったとの報告があり、可能な限り取り入れていければと思いました。
特別講演1は「肺を理解するためのいくつかの Pitfall」がテーマであり、【肺葉は分葉しているか】などCTや病理像など多方向から詳しく肺についての講演でした。先生のご略歴に登山研究というのがあり、スライドにも登山の写真が何枚か含まれており、印象に残りました。 文化講演では香川県出身の桂こけ枝さんが「笑う門には福来たる」ということで、ご出身が同県の俳優要潤さんに関するお話しや電車でおばあさんがおならをし、隣に座っていたおじさんのせいにしたなど、“笑うと免疫力がUpする”ということで約1時間休むことなく、前半は立ったままでとても楽しいお話しをされました。1時間話し続け、内容を忘れることなく、かむことなく話し続けられる。さすがはプロと感服しました。笑って免疫力を向上させた後は特別講演2ということで、会場の雰囲気ががらりと一変しました。
特別講演2は「脂質代謝からみた糖尿病」をテーマに香川大学医学部村尾先生のご講演でした。香川県と言えば“うどん”ということで香川県民の昼食(うどん+天ぷらなど)の写真から始まり、糖尿病と脂質異常症、希少糖についての講演がありました。香川県は糖尿病患者が多いこと、人間ドックで最も多い疾患は「高コレステロール血症」のお話しやコレステロール血症治療薬であるPCSK9阻害薬やスタチンを倍量投与しても6%しか低下しない“スタチン6%の法則”などのお話しをされました。脂質代謝のお話しを聞きながら、ちょっとだけ学生時代に戻ったような気分でした。香川県はうどんのイメージが強いですが、希少糖も有名ということで終盤は「希少糖とは何なのか」の話しもしてくださいました。香川大学の先生が熱心にご研究されているとのことです。私は希少糖が有名なことは初耳だったのですが、ダイエットにも効果がある!?ということなので、ご興味のある方はぜひ試してみてください!
特別企画Ⅰ「腎機能検査セミナー」では技師・企業の方がP/C比・A/C比、糖尿病性腎症や尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)などについて講演されました。NGAL・L-FABPの基礎的知識から予後予測に有用である可能性が示唆されるなどの最新データを交えてのお話しでした。NGALは敗血症性AKIで高値を示すなど基礎から最新情報まで幅広く学ぶことができました。会場からの質問も多かったです。ディスカッショは恥ずかしがりやな日本人のために、リモコンで解答する形式でした。会場入場時にリモコンを配布していただき、ディスカッションの時にスクリーンに表示された質問に対してリモコンの番号を選択することで、画面に集計結果が表示されるようになっていました。各施設のバイオマーカーやP/C比の実施状況、来年度の中四国支部学会で行ってほしい内容(テーマ)などの質問も盛り込まれていました。テストの質問と1問目の回答時の総数が違っており、「なぜ?」という雰囲気が一瞬漂うイレギュラーや終盤のスライドが1枚表示されないなどのアクシデントもありましたが…、司会の方が上手くかわしておられました。
シンポジウムⅡ【臨床微生物】ではAST加算が新設され、臨床検査技師としてどのような貢献ができるのか、どのように臨床に情報を提供できるかをテーマとして、グラム染色・培養・薬剤感受性の講演があり、最後に臨床医の先生からの講演がありました。グラム染色では細菌を推定するのは当然ながら、背景にも注目する必要がある。白血球にしても単核球か多角球のどちらが有意か、シャルコーライデン結晶・ピロリン酸カルシウム等の有無をチェックすることによって感染症と他疾患を鑑別する一助となるなどのお話しでした。臨床医の先生からのご講演では休日などの検体処理が担当者以外でも対応可能なように微生物検査担当者が、培地セット・塗り方を書いた説明書などを作成していることや細菌検査が有用であった症例提示もしていただきました。
展示会場は出展企業が37社あり、各社の機器や製品が展示されていました。プログラム集のスタンプラリー抽選券のページのスタンプ欄に10種類のうどんの写真が印刷されており、開くたびに「おいしそうだなぁ」と思ってしまう1ページでした。しっぽくうどんや打ち込みうどんは食べたことないのでとても興味をひかれました。 次回は2019年に島根県で開催予定です。また、2019年5月18から19日に山口県下関市で第68回日本医学検査学会が開催されます。皆さん、是非ご参加ください。