令和6年3月10日(日)、第26回検査部長・技師長連絡会議ならびに第43 回臨床検査精度管理向上研修会が広島県医師会館とzoomのハイブリットにて開催されました。
向上研修会に先立って開催された連絡会議で は、「精度管理の法改正に対応する SOP(標準作業手順書)」をテーマに病理検査部門ではJR広島病院 清水 丈明技師、県立広島病院 矢野 伸太郎技師、生理検査部門ではJA 広島総合病院 霜津 宏典技師、広島市民病院 福間 輝行技師が発表されました。SOP作成で困ったことは、書類作成に時間と人手がかかること、SOP作成のメリットは作業手順の統一化、要員の学習につながる、新人や部署配置後要員・学生実習などへの教育ツールとして活用できることが挙げられました。今後の課題としてSOPを定期的に見直し、書類の更新を行う必要性があることを述べられました。
臨床検査精度管理向上研修会では、広島県医師会副会長の岩崎 泰政先生より開会の挨拶後、成績優秀施設への表彰、協力施設への感謝状授与が執り行われました。その後精度管理調査結果の評価・解説がありました。
評価・解説の主な事項は、血液部門で単位間違いによるご記入により D 評価となった施設があ り、該当施設には、委員がコメントや単位変換方法を記載し来年度に向け注意を促していました。 輸血部門では、RhD 血液型検査の Rh コントロール 未実施の施設数が例年と変わっておらず、『Rh コントロールは、検査の有効性を判断するために重要でありガイドラインの準拠をお願いしたい』と強く言われていました。フォトサーベイ血液部門では、細胞名と所見を誤記入している施設があり、注意喚起していました。詳細な報告資料は日臨技ホームページの JAMTQC に掲載されています。
引き続いて行われた特別講演では、広島大学病院 検査部 部長・准教授 茂久田 翔先生に「検査 だけでは語れない。内科的関節炎治療」について 講演していただきました。
内容として、はじめにリウマチ学の総論を説明していただき、次いで関節リウマチの概論、関節リウマチの診断と検査の意義、除外すべき疾患の紹介について様々な論文や自験例を交えながら分かりやすくお話いただきました。講演の中で、関節リウマチは様々な除外診断が必要な疾患であり、患者さんの身体所見から柔軟に判断し、患者さんに寄り添った治療を行っている点が印象的でした。また、膠原病科は様々な角度から他疾患を除外し、診断していく診療科であり、豊富な知識や経験が必要であると改めて再認識できた講演でした。講演の最後に診断においては病歴や身体所見の優先度が高く、検査データは補助的な役割で、診断(分類)後のフォローのために必要不可欠と締めくくられ講演を終了しました。
(広報部 本田明奈 黒島知子)