この度は第39回広島県医学検査学会「サーベイランスでの経験により菌種を同定できた Staphylococcus pseudintermedius 感染症の1例」において優秀演題賞を受賞させていただき大変光栄に思っております。当日は優秀演題に選ばれるとは全く思っておらず、全プログラム視聴後にログアウトしていたため表彰されたことを知りませんでした。上司から知らせを聞き驚きと共に「ちゃんと視聴していましたよ…」と、複雑な心境ではありましたが、先日表彰状と記念品を受け取って受賞したことを実感し喜びを噛みしめています。
いままで私はサーベイランスを“テストを受けるような感覚”で参加していましたが、上司の方針・アドバイスに従うことでなんとか参加する価値があったのだと思います。今回、サーベイランスで学んだ内容を活かして対応できた症例を経験して、その有用性を実感しました。また自分自身のサーベイランスに取り組む姿勢を見直すきっかけとなっています。
本症例での背景として2019年度日臨技臨床検査精度管理調査での設問で、 Staphylococcus pseudintermedius は当院使用の同定機器では菌種同定データベースに登録されていないため同定できないこと、疑う臨床情報(犬由来)と同定するための追加検査などを経験しました。そのため犬由来の可能性があるStaphylococcus intermediusの時にS. pseudintermediusを疑い必要な追加検査を実施することができました。本症例では術後感染を疑っていたため、このサーベイランスでの経験がなければ Staphylococcus sp. もしくは S.intermedius と報告を続けて、患者への飼い犬との接触後に流水水洗などの指導も実施できていなかったと思っています。
今回の発表は当初リアルタイムでのWEB 配信となっていましたが、新型コロナウイルスの流行状況により急遽録画配信となってしまいました。緊張からは解放されましたが音声の吹込みを噛まずに行うことに時間がかかってしまい、締切との闘いに焦ってしまいました。またご時世ということもあり仕方ないことではありましたが、優秀演題に選ばれた発表が現地での発表でなかったことに少しばかり悔しさも感じています。新型コロナウイルスが終息し各学会が現地開催となってから、もう一度優秀演題として選ばれるように今後も励んで いきたいと思います。
最後に、審査していただいた先生方、学会実行委員の皆様に心より感謝申し上げます。
医療社団法人 日本鋼管福山病院 臨床検査科 村上祐人