Q1:期待値の設定方法について教えて下さい |
A1:ワーキンググループ 輸血担当委員と広島県臨床検査技師会より選出されたサポートメンバーの事前確認の結果をもとに設定しています。事前確認は、それぞれの施設における試薬や器具類を使用し確認を行います。試料は再現性を確認するため、それぞれの施設用にサンプリングを行います。事前確認結果に差が生じた場合あるいは精度管理確認用として不適と判断した場合は試料候補より外します。 精度管理調査に参加された施設の回答結果を集計後、事前確認の結果と差が生じた場合は、臨床検査精度管理推進委員会にて期待値(評価基準)の協議を行います。今回、間接1で使用した試料は日本赤十字社より「PEG-IAT 3+程度」の検体を提供されており、基幹施設における凝集の強さ確認(反応増強剤無添加60分間接抗グロブリン試験、以下Sal-IAT)では、「2+」の結果となりました。回答結果は事前確認の結果より強い傾向にあったため、評価基準について臨床検査精度管理推進委員会で検討しました。試料配布後に基幹施設において、凝集の強さを確認し事前確認の結果と相違がなかったこと、反応増強剤(PEG)はSal-IATより凝集を強くすることから基幹施設の「2+」を基準とすることが決定されました。 |
Q2:試験管法による凝集反応 間接1の試料において反応結果が強くなった要因について教えて下さい |
A2:精度管理調査は、実施指定日の3日以内に検査を実施していました。 凝集の強さが異なる場合に考えられる要因として、追加調査が可能であった項目(抗グロブリン試薬、洗浄方法、判定用遠心機)を報告した凝集の強さ別に集計した結果をグラフに記します。 (4+:19施設、3+:53施設、2+:12施設) ●抗グロブリン試薬(3-4の調査で集計) *不明について 精度管理調査内の各設問(交差適合試験および実態調査)で 調査を実施。しかし、カラム凝集法を実施されている施設 では試験管法の詳細は分類できないため不明とした。 報告がなかったものに関しても不明に分類した。 ●洗浄方法(5-3の調査で集計) ●判定用遠心機(5-4の調査で集計) 凝集の強さが異なった場合に考えられる要因としては、生理食塩液のpH、検査室の環境、判定用遠心機の条件、洗浄方法、反応温度および時間、血漿使用量、赤血球浮遊液の濃度と使用量、試料や試薬の温度等が挙げられます。試験管法による凝集反応では、試料の温度、反応温度および時間、血漿使用量、赤血球浮遊液の濃度と使用量は指定しています。調査内で確認できる範囲では、凝集の強さが強めに判定された要因の特定は困難でした。 要因の特定には至りませんでしたが、凝集の見方や強さについて再確認いただければ幸いです。 【試験管法による凝集反応 手引に記載の検査手順】 ① 試験管を 3 本用意する。 ② それぞれの試験管に試料(間接 1~3)の血漿を各々2 滴(100µL)入れる。 ③ 試料 7-C から 3~5%濃度の赤血球浮遊液を作製する。 ④ ②で準備した試験管に③で作成した 3~5%赤血球浮遊液を 1 滴(50µL)入れる。 ⑤ よく撹拌して 37℃で 1 時間反応させる。 ⑥ 生理食塩液で 3 回洗浄後、抗グロブリン試薬(クームス血清)を試薬の添付文書に従い滴下し、遠心判定する。 ⑦ 各試験管の凝集反応の有無および強さを判定する。 注意:この検査法には、アルブミン、LISS、PEG などの反応増強剤は使用しないで下さい |
2021年4月30日 文責:柏原 真由 広島県精度管理推進委員会 |