この度は第 41 回広島県医学検査学会で報告した 「出血傾向を呈し治療経過より自己免疫性第V因子欠乏症が疑われた一例」において優秀演題賞を受賞させていただき大変光栄に思っております。 私は臨床検査技師になって 3 年目になりますが、 学会発表をするのが本学会で初めての経験でしたので、受賞の発表を聞いたときは大変驚きました。それと同時に、学会に向け、支えてくださった当院検査部の先輩、同期、後輩技師の顔が思い浮かび、嬉しさと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
本演題で発表させていただきました自己免疫性後天性凝固第V因子欠乏症は発症頻度が年間 0.023~0.09 人/100 万人と極めて稀な疾患であり、実際に遭遇したのは本症例が初めてでした。 また、臨床病態や検査所見などから凝固因子インヒビターの存在が疑われたのに対し、クロスミキシングテストが典型的な上に凸のインヒビターパ ターンではなく、下に凸の凝固因子欠乏パターンを示し、結果をどのように解釈し、臨床へどのように結果報告をするべきか苦慮しました。最終的に、本症例の患者は治療が奏功し、症状の増悪や再発もなく、現在まで良好な経過をたどられてい ます。しかし、私の中では、当時報告したクロスミキシングテストの結果内容は適切であったのか、また、より早期の段階で診断や治療につながる情報提供ができたのではないかと悔しさが残りました。その苦い経験を糧に、今後似たような症例に遭遇した際にうまく対処できるよう、再度本症例を振り返り、文献収集にもより一層励みました。そのおかげと先輩技師のご指導もあって、多くの知見を得ることができ、日々の検査業務を行う上での自信を身につけることができたと思います。
今回の学会発表では、緊張や不安もありましたが、発表後の質疑応答で貴重なご意見をいただくことができ、また他の演者の方の発表を聞いて初めて知ることもあり、非常に多くのことを学びました。これからも患者や臨床に貢献できるよう、研修会や学会に積極的に参加し、日々研鑽を積んで参りたいと思います。
最後に、審査していただいた先生方、学会実行委員の皆様に心より感謝申し上げます。
広島市立病院機構 広島市立北部医療センター安佐市民病院 臨床検査部 坂野奏恵