【生化学・免疫領域への質問】
生化学・免疫領域と血液領域の目標値の設定で 得られた中央値を目標値としたとありますが、代表施設の測定値の平均値なのでしょうか、または測定値順に並べた中央の施設の測定値なのでしょうか。【回答者】
昨年の回答と同様で、目標値の設定に関しては、基幹4施設および協力施設の中央値を使用しております。 測定順から並べた中央の施設の値を採用しているわけではございません。 【遺伝子分野への質問】
先ほどの気切患者の検体採取において鼻腔や鼻咽頭での採取はしなくてよいでしょうか。 また、どのガイドラインからの文献なのかも教えていただきたいです。【回答者】
気切患者では咽頭以上の部位は空気の通り道とはなりえないため、仮にSARS-CoV-2に感染しても気切口~下気道、肺上皮でのウイルス感染が想定されます。このため、鼻咽頭などの気切口以上の上気道ではウイルスが検出されないケースが実際に報告され(下記、耳鼻科展望の論文参照)、用いる検体は下気道由来が最も検査に適していると考えます。 また、以下にガイドライン、Q&A、症例報告を紹介いたしますので、ご参考の上、ご施設のICTや呼吸器内科医とご相談ください。
なお、研修会でもお話しさせていただきましたが、あくまでもPCR等の遺伝子検査は、現状では【診断ツール】ですので、気切にて呼吸器管理をされている患者さんが新たにCOVID-19を発症するようなケースを除き、経時的なモニタリングへの使用は推奨いたしません。
・2019-nCoV (新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル https://www.niid.go.jp/niid/images/pathol/pdf/2019-nCoV_210319.pdf
【人工呼吸器管理下にある場合には無菌的な操作をもとに、滅菌されたカテーテルを使って気管吸引液を採取する。】
・ICUにおけるCOVID-19患者に対する看護Q&A
https://www.jsicm.org/news/upload/COVID-19_nursing_Q&A_v2.pdf
【Q16. 気管挿管管理中の下気道由来検体の採取時および、搬送時の注意点はありますか? A.N95マスクを含めた、PPEの装着を遵守します。閉鎖式吸引を避け、可能な限り新しい閉鎖式吸引を使用して検体を採取します。】
・診断に苦慮した気管切開術後の COVID―19 症例 土田 敬介ら、耳鼻咽喉科展望/2021 年 64 巻 3 号 p. 145-149
https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo/64/3/64_145/_pdf
【発熱,呼吸不全を来し新型コロナウイルス感染症を疑ったが上気道検体による逆転写ポリメラーゼ連鎖反応は 2 回連続で陰性であった。しかしその後喀痰を用いてPCRを施行し新型コロナウイルス陽性を確認した。臨床的に新型コロナウイルス感染を疑う場合は繰り返しPCRを行う必要があり,また気管切開前後の感染であるならば初回から下気道検体を用いるべきである。】